くま＆ぱんだのモルディブ新婚旅行記２

　さて、４時間のトランジットタイムをどう過ごすか。私は、シンガポール
のチャンギエアポートは１５年ぶりで、免税店やらがやたらでかかった
ことくらいしか覚えていない。さしあたって、トランジットカウンター
に行くと、なぜかカウンターの列のところにいた係員が、並びはじめた
日本人に「エミレイツ？カムバック８：００」と言っている。あれ？ＪＬ
７１０ってエミレイツのＥＫ０７１への乗り換えがそんなに定番なのかあ、
とちょっとだけ意外に思いつつ、それでも言われたとおりに２時間前になる
まで時間をつぶすことにする。まあ、帰りに買う土産を物色しておいても
いいし、もとより空港は好きなので、することはいっぱいあるさ．．．と、
言いつつ、まず入ったのが電気屋、それもＨＰ２００ＬＸの値段から調べ
ちゃうあたりやはり病気だなあ。価格はまあ自分が秋葉で購入した方が
安かったので、とりあえず満足。でも、一時期ほどの円高でない影響か、
安いと聞いていたチャンギの免税店も結構不甲斐ないものだとおもう。
結局、安かったら買おうかともくろんでいたフラッシュメモリーも、ＭＤも
買わずじまい。
　しかたないので、腹ごしらえを。空港案内によると、「スパイシー」
という名の店があるではないか。我々は二人ともスパイシーフード大好き
人間であるからして、「ここだー」と案内にしたがって第２ターミナルに向
かう。が、どういうわけかいっかな、店の有るはずの場所にたどりつけず、
立体迷路にはまったように必ず壁にいきあたってしまう。いいかげん、下手
くそプレイヤーにあやつられているＲＰＧのヒーローの気分を味わい始めた
あたりで、はたと気付く。「あ、この店はイミグレの向こうにあるんだ！！」
ううう、なんて初歩的なミスを．．．ちくしょう、今度はシンガポールにも
きてやるからな。その時は、必ずこの店で食ってやる（でも、そんな時は
市内のもっとうまいとこに行っちゃうんだ、きっと）と、思いつつしかたなく
唯一イミグレーションのこちら側にあったレストラン（まあ１タミにも同じ
物があったけど）である「トランジットレストラン」へ。でも、入ってみると
ここは和洋中印各国の料理を取りそろえていて、すくなくとも中華はまあまあ
食えるし、インドのカレーはかなりおいしかったので、許す事にした。
（和食は、はなから期待してないのでためしてません。）

　さて、そのほか、チャンギで目についた物と言うと、２タミの「０グラ
ビティ」というホログラム屋。ここはホログラフィだけではなく、あやしい
ペンダントや、へんな占い用品っぽいものもあつかっていて結構楽しい。
あと、やっぱりって感じで漢方とタイガーバームが豊富な薬局。それにＳＱ
（シンガポール・エアライン）のスチュワーデスの、「例の」有名な制服。
「今度来る時までに、これが着られるくらいにナイスバディになるわ！」とは、
妻の決心。あとは、フィットネスとトランジットホテルくらいが目あたらしい
施設かなあ。そうそう、トランジットのひとの時間つぶしのために、無料で
市内観光バスツアーが出てるので、その時間も調べておかなくちゃ。帰りの
トランジットでは行ってみようっと。（結局、この「Ｆｒｅｅ　Ｃｉｔｙ　
Ｔｏｕｒ」は毎正時に出発していて、できれば夜の７時以降の方が夜景が見ら
れて良いということがわかった。２／１７／９６現在、最終は１９：００−
２１：００のツアーで、これに乗れるのは２３：００以降の出発便のトラン
ジットの人に限られている。）

　いいかげん歩き疲れたころに、やっとボーデイングの時間になる。ゲートは
Ｃ４。一番端っこ。長い長いムービングロードをのんびりと左側に立っている
二人。ああ、時間に押されていないということの贅沢さ。ふだんなら右側を
せかせか歩いているよなあ。柱ごとの窓に映る自分たちに向かって次々と百
面相をしてみる。いいかげん、変な顔を思い付かなくなったころにやっと
ゲートに着く。おお、オフライン（日本に乗り入れていないエアライン）の
エミレイツだからあんまり日本人なんかいないかと思いきや、ゲートにいる
のは十数人のヨーロッパ系の人と、数組の日本人のカップル（まあ我々もワン
ノブゼムだけど）。あとは明らかにダイビングギヤをかかえた５人くらいの
日本男子の団体さん。そうかあ、エミレイツってメジャーなのねえ。
　時間にあわせて来たので、直ぐにボーディングが開始される。まず、子供
づれの家族とハンディキャップのある人からといアナウンスに対し、わらわらと
集まるのは日本人のカップルたち。ううむ．．．．いいけどさ。あまり旅行
なれしてなければ、「乗り遅れたら大変」とはやるのもわかるけど（なにしろ
自力での乗り換え日本出てから初めてだものねえ）、こういうのもやっぱり
外国の方々から見ると「日本人は．．．．」という評価につながっちゃうん
だろうなあ。ま、もちろんＪＡＬのおっさん連中よりはずっとずっとましだが。
あ、カップルたちグランドホステスに押し戻されちゃった。まあ、評判の
エミレイツに早く乗りたい気持はわかるけど、どうせすぐに乗れるから、もう
ちょっと待ちなさいね。

　さて、エミレイツは予想どおりのエアバスＡ３００シリーズ。実際には、
Ａ３１０だった。機番はＡ６−ＥＫＡ。わー、エアバスのシリーズは初めて
だけど、室内があっかるーーい。これは、壁紙が白を基調にしているせいも
あるような気がする。スッチーはこれもまた、目の覚めるような白人系美人。
それが、やわらかなベール（っていうのかな、あの中近東の女性があごの下に
ゆったりとたらして巻いている布）を巻いて真っ赤なベレーをかぶっている。
い、いかん。ハネムーナーなのについつい他の女性に目をうばわれてしまった。
まあ、これも、航空機ファンの習性であって、あ、あ、暴力はやめなさいって
「ぶぁきっ！（ｂｙ妻）」。
　き、気をとりなおして。そういうわけで「中近東の」航空会社というと
なんかとてもあやしいという気がしてしまうが、実はある友人がのたまった
「地中からお金が吹き出している国の航空会社ですからねえ」、の言葉どおり。
さすが、「Ａｉｒｌｉｎｅ　ｏｆ　ｔｈｅ　Ｙｅａｒ　１９９４」に輝くだけ
の事はある。あ、エコノミーなのにぬぁんと椅子にフットレストがついている
ではないかあ。それに各個人の前に液晶テレビが！！をを、これではまるで
ビヂネスくらすぅ。ああ、枕もＵ字型の寝やすいやつだし。あ、アメニティ
までくれちゃって。ちゃんとひとりひとりビニールのポーチ入りで、歯磨き
セットと櫛やらなんやら。ををっ！こ、このおりたたみ歯ブラシは１５年
くらい前にＳＱでくれていたものぢゃあないかあ。うう、サービスが、サー
ビスがいい！！！
　さて、新妻をそっちのけで、初めてのエアラインに狂喜するおっと。ああ、
とうとう椅子の写真まで取りはじめてしまった。さっきの日本人に対する
冷静な批判の目はどこにいったんだあ。そんなことでいいのか、くま！ほら
ほら、スチュワーデスに注意されちゃったじゃあない。「ベルト着用の
サインが出ている間はフラッシュ撮影はしないでくださいね。」あくまで、
にこやかに、ていねいなスッチー。しかもなまりのないクイーンズいんぐりっ
しゅ。
　さて、今度はまたさっさと横２−４−２配列の一番窓際の席に陣取ると
（あ、ごめんね、妻！帰りは窓際譲ってあげるから）、上下にのびた
ウィングレットが見えることにまたひとしきり喜んで、（Ａ３１０にウィング
レットがあることを、知らなかったんです、私。でも７４７−４００のと
比べるとだいぶ小さいのね。あたりまえか）フラッシュをＯＦＦにしてまた
ぱちりぱちり。おっとの興奮は、離陸後もやれエンジン音がちがうのやれ
スクリーンに現在高度と速度と位置と外気温が表示されているのと続くので
あった。
　一方、自他共に認めるパンダ頭（鳥頭は３歩あるくと物を忘れるがパンダ
頭は歩かなくても忘れる事のできる鋭い忘却力を誇るのだ！さらに目の前の
ものにすぐ興味をひかれるという散漫な注意力も誇るぞ！）の妻はいきなり
着席後にスッチーに手渡されたメニューをみて狂喜乱舞。「これで軽食だって
さーーー！！」た、たしかにこれはＪＡＬのＹクラスの通常の食事の内容を
軽く越えているし、アメリカ系のキャリアーだったら豪華ディナーだなあ。
軽いアペタイザーに牛か鳥の選択。さらにサラダとフルーツとケーキ。あと
ゴーディバのチョコ。豪華絢爛。ああ、どうせならマーレのストップオーバー
の後に出る「食事」も食べてみたいよお。
　まあ実際、運ばれてきた食事がまたこれが美味しいのだ。独特の香りの
スパイスを使っていて、とても日本では味わえない味。ああ、幸せのうちに
機は一路真西へと進路をとり、時差３時間のマーレに向かって飛び続けるの
でありました。さすがに、おっとも妻も満腹のうえ、個人用テレビの番組にも
あきて、すでに日本時間では夜中をとうにまわっているので、前日の結婚式の
つかれも相まって深い眠りに落ちていったのでありました。