くまの 初！ 入院日記
胸腺摘出 どたばた入院日記
くまと話しをした患者さんたち
病棟で生活するうちに、何名かの患者さんと、よく話しをするように
なった。同じ患者同士、ひとこと「おはようございます」などと声を
かけることから、会話が始まる。また三楽病院の病棟には「談話室」が
あり、夜な夜な消灯時間後に患者の井戸端会議になる。同じ入院する
なら、親しく話しができる人がいくらかでも出てくると、より生活に
ハリが出て、病気の回復に効果的でもあるのだろう。
隣のTSさん：
入院時に隣のベッドになった方。抗がん剤治療中で入院していた。
いつも「気持ちが悪い」と、ろくに食事も取れない状態だったが、
ある日颯爽と外出。まるで別人のようだった。人はパジャマから
洋服に着替えると、とたんに気分が引き締まるのかもしれない。
くまが手術後、2人部屋からまた大部屋にもどった日に、無事
退院されていった。
隣のTさん：
くまと同じ日に手術。手術の後にくまと同じ2人部屋７０６でうなっ
ていた。術日の夜は2人で「いたいー」といいながら、交互にナース
コールを呼んでいた。
後で聞いたところによると、十二指腸に穴があいたとかで、緊急入院
してきたのだという。会計士を目指して勉強中、近くの予備校で腹痛
を起こして倒れたとか。予備校が近いらしく毎日夕方たくさんの友達
が見舞いに来る。また毎晩「彼女」（かな？）も必ず来る。彼女も
友達もみな物腰や言葉遣いがきちんとしていた。７０６はくまも友人が
多くて、Tさんとくまの両方で千客万来な部屋だったのだが、お互い
にいやな思い一つしなかった。
胃の出口を手術したので、術後一週間は鼻から通して胃の中にパイプ
を入れたまま。そのパイプで胃液を定期的に吸い出していた。水一滴
飲めずというのが気の毒だった。術後8日目頃からやっと重湯をとれる
ようになったとか。
隣の部屋のNさん：
最初に「どっちの料理ショウ」を見ていて話をするようになった。
途中からドレインをつけたまま外出して仕事をするようになった。
いつも、夜中に帰ってきてから、談話室で読書をしている。三楽
病院のただ一つの不満は、２階にしか喫煙室がないことだそうだ。
同室に来たKさん：
胆石の手術で入院。くまの入院日に手術をし、くまの術日の前日
に退院をしていった。保険会社社員。ほとんど元気な姿しか見て
いないのだが、「術後3日目でもう、結構歩ける」という見本にな
ってくれた。話し好きで、消灯後になると必ず談話室に来て、誰か
と話したそうにしていた。
同室のUさん：
７１２にくまの入院時からいたおじいちゃん。「継続洗浄中」と
いう「ポチ」を連れて歩いている。いつもカーテンを閉ざしていて
かなり偏屈なひとなのかと思っていたら、退院直前になって、いろ
いろ話をするようになった。現在７４歳。実はピアニストで、指
を動かすことには自信があるので、パソコンを勉強したいと思って
いる。元気に退院してパソコンを買ってくださいねー。
同室に来たIさん：
糖尿病の教育入院で、くまが７１２号室に戻った日に入院して
きた、国語の先生。近代文学が専門。教育入院のため、毎日散歩や
教育ビデオが日課に入っている。カレーの日にも彼にだけはカレー
が出なかったりと、胃腸が健康なのに食事制限があるので、気の毒。
比較的老人が多い中、彼はくまとあまり年齢がかわらない感じで、
くまの話した相手では唯一パソコンを持ち込んでいた人。
病室にもブロードバンドルーターが欲しいとよく2人で言っていた。
隣のベッドに来たSさん：
お菓子の流通に携わる会社の社長さん。とても話し好きな人。
神田の育ちで、ちゃきちゃきの江戸っ子という感じ。
腸ヘルニアで入院してきて、大した手術じゃなかったなずなのに、
前にいた病院で飲んでいた薬のせいで血が止まりにくく、大変。
術後初日の夜中、見回りの時に、「あ、血が止まってない」と
看護婦さんが突然ドクターを呼び、ベッドの上で、一旦傷口を
開いて血を押し出すという羽目になった。その作業を病室のベッド
でやってしまったドクターもすごいが、声ひとつ立てずにその作業
に耐えたSさんもすごい。いつも前に入院していた「三井記念病院」
と三楽を比べてはすべてにおいて三楽が勝っているといっている。
「三井記念病院はひどかったー」が口癖。
N先生：
くまよりちょっとだけ前から入院していた。女性の小学校の先生。
明るく、前向きで好奇心旺盛。様様な教育論などをくまと話して
くれた。だれにでも挨拶をし、話し掛けて、病棟の中でもお友達
が多かったようだ。くまが一番親しく話しをした方。彼女から
見ると、くまも小学校の児童の年齢に近いらしく「おにぃさん」
と呼ばれてなんかかわいがられていたような気がする。
Bおばちゃん：
とにかく良く笑うおばちゃん。胆石で入院していたということで、
くまの2日前に手術。手術の傷は小さく術後2日目には歩いていた。
明るく、よく笑っていたので、N先生とペアで、女性の病室の中
ではかなりの人気者だったようだ。手術が軽かったので、比較的
早く退院をしていった。